「お疲れ様です」
帰るけど寝ないんだな…とお見送り

「他所に戻る方が多いんですかね…」
「安全さではここが一番だと思いますけど」

「真面目な御仁はご苦労なさる」

そうでなければ梟になんて染まらない！

「さぁさぁ、お帰りください」
「在るべきかもしれないし、そうでないかもしれない場所へ」

わたくしはもう少し冷やかして参りましょう。

「僕はなんか……ちょうど良いから……かな。
メトロより治安悪くないし、ある程度自由だからさ。
性に合ってるんだよね」

「ちょうどいい、ですか」
「…確かに君は遊びたいとかいってたしここはあんまり向いてないかもですね」
「規律、慣れればそう堅苦しくもないもんですが」

まあ向き不向きもあるよな…とぼんやり

「安全なんて！」
「どうせ終わるのですから」「それより愉しい事を致しましょう」

曙光の回し者ではございません！
断じて！

「そこの若者は本当に梟首会がお似合いですね」
「曙光でも言われていた気がしますが……」

やっぱり条文に興奮するんだァ……。

「なんかあらぬ疑いをかけられてる気が…」

妙な視線を感じた気がした、気のせいかな

「正直ここも居心地は悪くないけど、遊ぶの含めてした事ないことをする上であそこが都合が良いんだよね。

色々できるからさ」

「どうぞ部外者の事は気になさらず……」

お好きなだけ大興奮を……！

「なんか軽く一周してしもうた…」

メトロ＆曙光帰り。

「ああ…確かにいろんなことは経験できそうなところではありますね」
「聞いただけなのでよくは知りませんが」
ほんと、色々できそう

「ちょっ、ほんまに変な疑いはやめてもらえます？」
「そういう意味と違いますからね？」
ルールは大事だよという意味でしかないんですからね…！？

「あ、お嬢様の…」
「帰ってきたんですね、どうでしたMETRO」

「ふむふむ」「それで彼方あちらを選んだと」
「大変素晴らしい理由と、わたくし心より思います！」

嘘ではございません！
なぜか大抵信用されないのですが、此度こそ嘘ではございません！

「様々を経験するが宜しい」
「すればするほど、終わった瞬間が一層味わい深くなりましょう」

「まぁ色々ありすぎるのがちょっと問題ではあるけど……」

遠い目で空を見上げてる。

「というかそろそろ休む場所とか見つけないと……って訳でそろそろ僕も休むよ、またね」

「あ、お疲れ様です」

入れ替わりだな…と去る人を見送る

「ンー。
すっごい混沌やった」

一言。

「えー」

えー。

「混沌やったんですか…」
そうかあ…まあそうやろなあ…

「えー、ではなく」

「お休みなさいませ」
「そしてご機嫌よう！」「何の罪もない部外者でございます！」

「なんて言えばええんやろうな…。
瓦礫とか投げてるやつとか、いつも通り包丁マンが暴れてて…なんか業で動いてる死体っぽいやつもいたし…魑魅魍魎よりはマシというか…」
「あっいい人もいたで、うん」

「おう、ごきげんよう。
罪がない部外者…？業はあるやろ」

「METORO良いとこ寄っといで」
「と、歌う方もいらっしゃった気がしますが」

いたっけな？　尾鰭付けておこうっと！

「死体は蹴飛ばすとピクピクしますよ」

同じ死体かは知りませんが！

「えぇ…」
「…それは、確かに混沌ですね…」
「ああ、でもいい人もいるんですねそれはよかった」
「どこにでもいい人はいるみたいで」

んっんー。小首を傾げてみます。
三十路の男なのでお目を汚すだけなんですがね！　ご愁傷様で！

「多分な〜まぁ大事は無かったから大丈夫や」
「またそのうち行く予定や、ジャーキーを待ってるわんこがおる」

服はちょっと汚れちゃった。

「死体なんて蹴り飛ばしたらバチ当たるで…あとそんな事言ってる人おるんや」

「まあ、兎も角無事で戻ってきてくれてよかったです」
「あなたが大丈夫なら兄貴も大丈夫でしょうし」

思っていたよりもマシなのかもしれないな…

「いましたいました」

多分！　実際は見世物じゃないぞとか言われましたっけ？
どうだったかしら！？　

「うっかり爪先が当たってしまっただけなのです」
「大変反省しております……」

うっかり。

「貴方はお兄上を追って行かれないので？」
「ご心配なさる程であれば」

「ああ、いや俺は…あんま他所行きたくないんで」
「兄貴も別に、俺が勝手に心配してるだけですし」

実際放っておいても大丈夫そうな人だから

「おや、そうでしたか」
「眼鏡のつるまで梟に染まっておいでなのかしら……」

よよよ。まだお若そうなのに！

「ま、何らかの理由がおありなのでしょう」
「ならば致し方ありますまい」　

「包丁マンアイツはメトロではマスコットらしいな。
蹴ったことを反省してるならヨシ！」

「無理して行かんでもええと思うで、メガネ兄ちゃんの兄ちゃんはしっかりしてたで、いざとなったら逃げ足があるって言ってたし大丈夫や！」

「眼鏡のつるまで梟に染まるってどないやねん」
「つるなのに梟なのも、ようわからんわ」
「…でも、ま、そういうことです」
「寝る時どこぞへ帰る連中と大して変わらんでしょ」

結局居座る場にしたいところがあるという意味では

「剣の方にも良い居場所があるみたいですね」
「ああ、よかったですそうですよね、兄貴ならどこでも大丈夫です」

ヨシ！　とされました。ならばヨシ！

「嗚呼、時代が違ければ」
「ツッコミの名手として名を馳せたかもしれませんのに……」

終末までに頑張って馳せてください。
わたくし応援しております。

「確かにね」「寝るかはともかく」
「わたくしもそろそろ酒が恋しくなって参りましたし」

爪先をネオンが光る方へ向けると致しましょう。

「それでは仔梟の方々」
「良い夜を、そして終末を！」

「ツッコミて」
「俺はボケかまされてるだけなんですけど…」
どちらかといえば当たり屋に絡まれてるような感覚です

「あ…お疲れさんです」
「俺も一旦帰るかな…とりあえず兄貴が無事っぽいし」

「やっぱりこっちが良いな！
（監視の目は相変わらずだが）」

「……ぁ゛ー……肩が……」

延々とゴミを漁っては燃やしてを繰り返していたが、ようやっと切り上げた。
肩をぐるぐる、伸びをぐぐっとやったらば、何度目かの溜息。

「つかれた」

そりゃあそうでしょうね。

「おつかれだぞー。
よし、こんな物だな。本当に地道な作業だ」
ゴミ拾っては紙片などを燃やしていく。金具も試しに燃やしていく。

「おつかれ」という声には返事の代わりに軽く手を振る。
燃やして煙たいのにはすっかり慣れたが、フィジカルの問題は如何ともし難い。

「結局地道な作業以上の近道なんてどこにも無いんだ……ねよ。」

ぐっぐっと屈伸運動をした後、もう一度溜息を吐いてどこぞへ歩いていった。

「おやすみな〜」
笑顔で軽く手を振った。

「しゅんとしてはいられないなぁ。そうだろう、エコル……」

「あいつらなんで居なくなったんだろうな。天から舞い降りた神がいたらぶん殴りに行っていたぞ」

「たっだいまぁ。
お兄さんの帰還やで〜｣
ま、こんな時間やさかい皆寝とるんやろなぁ。

「んぁ……朝だ……くっそ眠い……人はまだ……居ないかな」

欠伸を噛み殺しながらやってきて眠気覚ましがてらラジオ体操を

火かき棒で地面を擦り、時折叩き。
甲高い音を響かせながら。

「うーうー」

今日はここでお仕事ゴミ拾い。

「あ、うさぎの子だ。
真面目だなぁ」

ラジオ体操しながらほっこり眺めて

「……ただいま帰りました」

一日空けて曙光からホームの梟首会へと戻ってきた少女。
時間的に何だか歓楽街から朝帰りしたような形になってしまった。
誓ってやましいことはしていないのだが……ちょっぴりこそこそしながら家へ戻る。

少女は骨牌遊び相克なんて出来ないからゴミ拾いばかり。
黙々と頑張ります。もぞもぞ……

「頑張れ……！」

聞こえないとは思うけど、気持ちが届けば良いなと、密かに応援して

「あ、昨日の鬼ごっこのお姉さんだ」

多少は期待しないでも無かったのだけど、
日を跨いでも雨が降らぬなら今日は降らんな。
ま、出歩くに向きゃせんので構やしません。

「どこもかしこも視線が止まないな」
「迷子とかすぐ見つかりそうな街ですこと」

ちんまい紙袋持ってちょいと右往左往。

「うっ？！」

見つかってしまった……？！と思ったが、声の主は地元の知り合いではなく。
確か昨晩鬼ごっこで一緒に逃げ役に興じていた少年だ。

「……おはようございます。あなたも梟首会にいらしてたのですね。
何かご用事ですか？」

ほっと胸をなでおろして挨拶する。

「あ！」

METROの不味い飯食わせた奴が二人も居る！
こういう事が段々に増えてくのかも知らん。

「おはよう、んーいや。
特に用事がある訳でもないんだけどね、ほかのところも見ておきたいなと思ったからちょっとね」

要は見学である

「んーぅ？」

「おや、ラァジューさんも。おはようございます。
昨日はごちそうさまでした」

気が付けばメトロ飯をいただいた方も。律義にもう一度お礼を言った。

紙を焼いている。

「んは、おはようございます」

腑抜けた面立ちに景気良い笑い声。
合縁奇縁とかいうのですかね。わは！

「淑やかだった筈のおなごが朝帰りですかあ」
「一夜見ぬ内に人てのは変わるもんですねえ」

釘も刺しときました。

「そうでしたか。ここは曙光ほど派手な娯楽施設や店などが
あるわけではありませんが、良ければゆっくりとお過ごし下さい。

昨日の鬼ごっこ、楽しかったですね。またああした息抜きをしたいものです」

「そこなちびっこも……」
「んあ、声が通らんてのは大変だ」

まっくろちまいのに小走りで寄ってく。
えっほ、えっほ。飯があるって伝えなきゃ。

度々どこか下世話な話になるもので、耳は悪くて正解なのかも。
聞こえたところで朝帰りは理解しない……？それは……そう！

「派手なお店はあんま行かないから大丈夫。
それじゃお言葉に甘えてゆっくりさせてもらうよ。

またやりたいよね、あっちでまたやろう」

「わっ、私は何もやましいことはしていませんよ？！
たまたま帰ってきた時間が朝になっただけで！
決して夜遊びやふしだらな行為に耽っていたわけではありませんから！！」

人聞きの悪いことを言わないで下さい！と顔を真っ赤にした。

「……やっぱあそこってそういう所って認識なんだなぁ」

夜遊びやふしだら、な場所なのかも。
夜中になってもネオンはびかびかで、人通りも多いから。

「まぅ」

少女は何も分かってない。勿論。

「Metro見てきたんやけど、アソコは混沌やな」

「メトロなぁ……一回行ったことあるけど混沌としすぎてすぐ帰っちゃったな……また行ってみようかな……」

「まるで自己紹介するみたいにスラ〜とあられもない事情が」
「いやなに、勿論冗談ですよ。良い経験が出来たなら良かった」

そんなにぷんすかされるとないことあったみたいだ。
ふしだらな行為に耽っていたんですか？オヨヨ……。
ぶえぶえ泣く真似見せちゃう。

「私も実際に曙光を見て回った結果、歓楽街という印象は強かったです。
いかがわし……健全でないお店も多々ありましたし。私は利用していませんが」

"利用していませんが"のところを強調して。

「まさかあなたはそうしたお店に出入りしたりはしていませんよね？
華やかなネオンや享楽に耽る人々の空気に流されてはいけませんよ」

「何処にでも言えますが」
「METROもまた時間次第やも知れません」
「ゴールデンタイムは正に掃き溜めです」

人気がないと薄気味悪いものの、
喧騒塗れは目に耳が疲れちゃう。
良い時に出ておいでって話だ。

「まぁそうだよなぁ……僕も初めて見た時は大体同じ感想だったし……

……僕はつ、つつ……つか、つか……使った事一回しかない……から……」

ぷしゅーと顔から煙が出そうなくらい赤くなって

「？」

下世話になってゆく。

「あと食いもんたかられたわ」

「湯屋に寄る予定は今んとこありません」
「飲みで連れてかれた事はございますが」

利用しましたと堂々宣言されりゃオヨヨも加速したろうな。

「時間次第……かぁ……！
なるべく人が多すぎず少なすぎない時間帯を狙いたいな！！！

ご飯か！何か常備しておこう！」

話題を変えるのに必死

「していませんてば！そんな行為など！！
昨晩はそこの彼も一緒になって皆で鬼ごっこをして遊んでいたのです！」

そうですよね！と、義手の少年を指さして言った。証人がいて良かった……
ムキになればなる程どつぼにはまっている気もするが、それが堅物少女の性分だった。

「……使ったのですか？一回………」

少年を見る少女の目が途端にジトッ……となった。

「え、あぁうん……そう、 ただその後は僕こっちに来たからどうかわかんないけど……」

少なくともその時までは鬼ごっこをしていた

「？」

言い争いの気配は感じているが。
少女はにこにこしているだけだ。

「あ、いやっ！これは深いわけが……悪い大人に騙されただけで！
行きたくて行った訳では！！

もう行く予定も行く気もないから！！！」

弁明になっているのだろうか

「いぅいも」「ぁい」

「鬼ごっこ、って」
「何らかの隠喩……？」

懐から出した酒瓶の栓を開け、
極めて神妙な面持ちを形作る。

「それって上機嫌な鳴き声なのか不機嫌な鳴き声なんだか」
「今比較的痴情のもつれなんですよ」

にこにこすべき場面じゃあない。

「……まあ、騙されたのであれば仕方ないということにしておきましょう。
男性はそうした生理的欲求に抗い難いとも聞きますし……

どういうお店に行ったのかは存じませんが、以後は気をつけて下さいね。
くれぐれも一時の欲望に流されないように！」

なぜか深い間柄でもない少年に説教をしている。

「朝っぱらする話ちゃうけどな、まぁええんやないか」

「ぅーあー」

「抗い難くないし、今抗ってるし！！
あと別に流されないし！！！
鬼ごっこは普通に鬼ごっこだし！！」

地団駄を踏みながら喚き散らしている。

地団駄の真似っ子をしてる！ダバダバ！

「隠喩ではありません！！そのままの意味です！！子供の遊び！
聞いていたら分かるでしょう？！」

相変わらず顔を真っ赤にしている。冗談が通じない。

「これは真似しなくていいの！！」

地団駄をやめて疲れたのでその場に座り込んだ

「おもろ」

「おお、音聴いて踊り出す花の玩具みたい」
「いやはや、ははは……」
「子供の遊び……って」

何らかの隠喩……？懲りなかった。