「そーぷってなんぞ……？」

「何の話だかさっぱりわかりませんなあ。
　法のお膝元で堂々とそんなことを言うなんて……」

「……あたしみたいなおねーさんが言っても、一回疑った方がいいよ、うん……」

「あかんで、わたしと銭湯行った方が安心できるで」

「うーん、うん、いや、知るべきかな……いや知らない方が……」
「……私は石鹼の事しか言ってないけど、サングラスの彼シャルパスは何の事だと思ってるんだろうなぁ？」
すっとぼけ。

「お風呂の話ですか？お風呂は良いですね、一日の疲れが取れます。
公衆浴場はあまり利用しませんが、たまに気分転換で行くのは好きです。
ソープとは何でしょうか」

こちらも知らない側の少女だった。

「んー……？
まぁなんか変な意味があるってことか……なるほど

えー……どうしようかな……」

もうここにいる皆で大浴場いっちゃった方がいいんじゃないか。
その方が安心安全だし、なんか楽しそうだし。
ああ、いつもの姿だったら提案できたのに。
はにゃ……？　って顔をすることしかできない。

「まぁ、とにかくお風呂じゃなくて銭湯の方が良いんじゃないかな。」
「多分……大浴場とかがあると思うし。」

「んー」

「でもホントだったらなんか申し訳ないし……
僕銭湯とかのある場所知らないんだよね……他の人に連れて行ってもらおうか……」

「そーぷ」「せっけん」

「そーぷ　って　せっけん　って　こと　なんだ」

「他に男がいたほうがいいのであれば、ついていきましょうか」

場所は知らないから、ついていくことくらいしかできないが。

「ほら、ハンドソープとかあるし。そのソープだよ。」
「…………はぁ……」
溜息をこぼしてる。なんか思うところがあったのかもしれない。

「……まあ、特殊な石鹸とか使ったり、お客さんが参加型のお風呂があるんだよ、うん」

間違っては無いかなー、多分

「せやで、石鹸や石鹸」

濁した。

規律を重んじる街でお風呂屋さんの話題なんて。
禁欲的だと尚更とか言う奴かしらね。

「あぁ、なるほど……石鹸のことか。
ならいっか！
参加型のお風呂……？」

「泡あるいは石鹸。メイランちゃんならうまいこと乗りこなせそうだなあ」

「ああ、石鹸のことですか。話の流れから何かの施設だと思ったのですが。
客が参加型のお風呂というのは公衆浴場とは違うのでしょうか……？
梟首会にはおそらく銭湯しかありませんので、曙光へ行くのが良いのでしょうね」

「知らないままのほうが良いこともあるわな～」

「あー、うん、銭湯のままがいいよ。多分……」
もうなんも言えねぇ。

「うー？」

「まぁそれならへんなとこじゃ無さそうだし大丈夫かな？」

「良い子は銭湯で済まして……お願いだから…………」
切実そう。

「やはり必要なようだな。ドキドキ★曙光大見学ツアーが……案内人私。
　法の名の元に人民を押し付ける翼から逃れ、
　自らの足で光を浴びに参りましょう」

はてさて、真実を教えぬ優しさはどう転ぶのか。
上手く生きていけば、その内嫌でも知る世界ではあるけど。
やっぱまともな教育場所と教育者、欲しいなあ、とか。
思ったり思わなかったり。

「乗りこなす……？石鹸を使った何かの遊具があるのでしょうか。
曙光には変わった娯楽があるのですね……」

あれだけ大きな歓楽街なら変わった店もあるのかも、と首をかしげながら思った。

「ま、普通のお風呂行けるなら僕はなんでもいいや！」

「変態紳士のにいちゃんの案内は危険やと思うのは私だけか？」

「多分サングラスの彼が言ってるのは普通のじゃないんだけど……」

「ツアーには乗じさせてもらいますか」
「あまりない機会ですしね」

便乗鳩。風呂の記録は自発的に取れぬもので。

「なんでそんな不名誉な接頭をつけられたんだ？」

「まぁ如何にも怪しいところに連れて行こうとしたらみんなでボコれば良いと思うで」

飴を舐め終わり、お仕事に戻る。
勤勉だ。

「なんでやろうな…」

すっとぼけ。

「でも、怪しい所に行くところにわざわざ監視付けるほどみんな暇かしら？」

「……まぁそうか、そうだな。」
「その時はこれではんごろしにするか……」
携えた刀を抱え。そんなことここ梟首会で言っていいのか？

「え、普通のじゃないの……？」

お手本のようなジト目

「まあ、はんごろしは美味しいおもちだから……」
「食べたくなってきたな……」

「そもそも、冷静に考えるとそんなに大人数は連れ回せないな。
　安全の保証とかができない」

「お兄さんは1人でもええよ」

「変態……
シャルパスさんはやはりそういう方なのでしょうか……」

周囲の評判によって相手のイメージが固まっていくケース。

「お気になさらず、自分の身は自分で守れますので」

少年だけ守っていればいい。こちらも見守っているので。

「あ、そうなの？人沢山なら僕はまた今度でも良いよ？」

「私は行きたくない……なんかもう曙光とか二度と行きたくない気分だ、ほんとに……」

「お兄さん1人の方が何かと都合ええねん」

「ただ曙光行く前に弟に報告しとかなアカン｣

｢ん、今度は曙光の話か｣
｢あの場所って以外と難しい話が聞こえてくる事が多いイメージがあるな アホばかりかと思ったのに…｣
よくない偏見。

「曙光ってそんなやばめなの～？」

二度と行きたくないって言うほどにさ。

曙光の方から来た少女、ちっともピンと来ていない。
というかまあ、話は半分程度にしか聞こえていないが。

「何処も、行きたくないーって人居ない？
もう全部の敷居跨いだら最強になれないかな」

「お兄さんの弟はずっと此処居るって言ってたで」

「そんなことないんやけどな…。
あっ曙光行く前にメトロ行ってくるわ」

トコトコ。また行った。

「そんなにやばいとこじゃないよ？ 変なお店に目を瞑れば」

「うー？」「むー……」

「行ってらっしゃい……」
なんか疲弊しながら見送り。
「いや、別に……飯とかの事を考えたらいいところだよ、曙光。ただ、ただなぁ……」

もう二度と行きたくない気分か。曙光。
昨日の鬼ごっこも嫌だったかな。そんな心配が浮かんだ。
恐らくこの一連の流れで疲れたのだとは思うが。

｢あと曙光だと俺の薬もよく売れるんだが…まあ 同業者も多いから大変なんだよな｣

方々遊び歩いて、ようやく帰路に付いた男。
何本煙らせたか定かで無い煙草の吸殻。

さて丁度、曙光についての話が聞こえるような。

「なに、あっちに興味ある子いる？
　俺いつも向こうで話聞いてるけど」

その名に相応しい空模様は、まだまだ先だが。
顔見知りも、そうで無い者にも声を掛けて。

「やっぱ梟が安全やね」

「……その、変な店がなぁ」
どうもそういうものに苦手意識があるのか、何か嫌な思い出があるのか。
多分これ以上は語らない。

「ええ……ここは安全で、とても良いところですね」

「聞いてる限りじゃ馴染み深いまであるんよね〜」
「顔出してみるのもアリかぁ」

「うー？」「むん」

「じゃあサクヤくんとメイランちゃん中心でいくか……」

「あ。刃物刺さってる人だ。
まだ生きててよかったねぇ」

「何も知らなそうな人だけ連れていくのはやめな。」
やめな（切実）。

骨牌一枚切って来た。
「燃えろ〜」
種子を焚べている。

「ハハ……皆さんもご健康そうで何より。
　この終末の世界では、身体が最重要の資本ですからな。」

「曙光は……華やかな街ではありましたが、それ故に危険な感じもいたしました。
あのぎらついた明かりを見ていると何となく浮足立ってしまうというか、
内にある欲をかき立てられてしまいそうになるというか……

ただ、悪いところばかりでもありませんでしたよ。
外から来た私を親切に迎えてくれた方々もいらっしゃいましたし」

あ、剣だ。
『久しぶりだな。剣。割と探してた。』

「っくしゅ」

煙か灰かに鼻が擽られた。

少女はちっとも曙光を怪しいとは思っていなかった。
汚いところなんか何にも見えていないせいかも。

｢あ、また会ったな剣の人｣
METROとどれぐらい動きが違うんだろうな…という眼差し

「あ、刃の方だ。やっぱり場所で口調変わるんだな……」

「まぁ僕は変なとこじゃないって約束できるなら行くよ」

鼠の穴倉で見えた者も居る。
自分と同じ物好きかは定かで無いが。

「曙光はお友達と一緒に行くのが良いよ～
　勝手を知ってる奴が居ると全然違うからさ」

言って、この街の何処であっても
似たようなものだろうと自答しつつ。

「割と探してたのお～？」
「ずっとメトロの方におりましたからな。」
「見た目が子どもだが全然お嬢様さんも、
　アミドリさん刀マンさんもご達者な様子で何より」

「げ 鞘のやつここにいんのかよ」
げ！
「しかし曙光の話かァ？」
「規律正しいココと真反対の場所だろうによ」
話してるだけでしょっ引かれることもないだろうが。

「私とサクヤさんで、ですか？
まあ私は構いませんが……あ、刃物の方。

曙光で見た時は奇声を上げて暴れ回っていた気がするのですが、
今日はずいぶんと雰囲気が違いますね……」

「私刀マンなんだ……」
確かにずっと刀を携えているというのは特徴的だけども。

｢すげー めっちゃ礼儀正しい…
あと俺のあだ名アミドリで合ってたんだ｣
多分褒めてる。

「こちらはシロポン　どうやら私といっしょに来てしまったようですな
　ハハハ　そうですねあのウジ蝿領域はよくも悪くもマシも緩いですから
　そのせいで少々羽目を外した姿を見られていたのは……ええお恥ずかしい……」

『割と頑張って減らしたの。80。これ以上無理。』

「んー」

「なんかここまで違うと多重人格疑い始めちゃうね、ちょっと不気味」

「お友達ねえ」

うーん。アテクシ新入りなので。

「マジで一緒に来ちまったらしくて困惑してンだ そんな偶然あんだ」
「何だァ？その喋り方は…」
TPOを守っている。守れんだ。守れんだ？

「！？」

「ええッ……マジに業の臭いが薄い
　そこまで……やったってのかッ……！？」

「…………」
『あぁ、でも。業少し残ってるから君の望むものではないだろうね。』

*PL離脱。次来るのが日付超えます。

曙光はそこまで悪い場所じゃないと“雨音”は思ってる。
もちろん、正しい知識さえあれば、が付随するのだが。
口開けて待ってるだけじゃ、享楽を享受できないのも確かだし。
ある程度は意欲的な者じゃないと、居づらいのかもな。

「あーむ」「んー」
「んふ」

「というか、逆にちょっとは残るのが驚きなのだよ。次負けたら素寒貧になるのかな？」