「……」
聞こえてくる会話聞き流したり適当に相槌打ったりしながら収集品に火をつけた。
ついでに火傷まみれの手でゴミを弄って遊んでいる。

「かわいい幽霊ちゃん！かわいい幽霊ちゃん！」

「METROでは奪い奪われはよくあるし、代表の方も放任主義の人だから、自分の身は自分で守らないとだし、そういう意味でも防弾、あるいは防刃ベストの類はあれば最高になれるよね」

「わたしはさっき、『ベリル』って名前を貰ったよ」「嬉しいね」

「業は盗るのが難しいんだよ。服は……」

訪れた人物のいくらかを、観察するようなよろしくない眼差しを向けて。

「上等なもんなら、剥がされるかもなあ？」

「ん〜、おのぼりさんたちばかり」

「ま、名乗るのだって自由だしね」
「賑やかさはまず違いないでしょ。
　終わりの日までどうぞよろしく〜」

灰を被った獣は、へらりと緩く手を振っていた。

「私は上月（こうづき） アリサと申します。
　研究職（元）ではありますが、医療の心得もありますので
　臓器の提供や移植の入用な時はご相談くださいね」

悪口は自分の事だと思ってない……図太いので。

「夢くらい見なきゃ生きれないでしょ？
それが他から見て現実的かそうじゃないかなのだ。将来像すらも砂漠の陽炎に過ぎないのだ」

かわいいなんて聞こえれば。あくまでも顔色一つ変えず。
「はあ？　誉めとるんか貶しとるんか知らんけど、そういうンは酒の零れた土にでも言うてあげはったらええ。……花咲いたら誉めたるわ」

「…」

拾った物を焼却したりしている

「あぁ、私はロウ・パラデス。心の方を診る医者をこの辺りでやっているよ。悩みとか辛い事があればいつでも相談に乗るから、よろしくね！」

「うちは夢の見方も忘れてもうたけどな」
酒をまた注いで。

「まあ確かに生きとるかも分からんな。おおきに」
一滴も零さず飲み干した。

「まあ何、よろしく仲良くやろう」
「私は名前を覚えるのは苦手だが、顔は覚える性質だ」
「戦うにも奪うにも、まず相手を油断させた方が得だしな」

御存知の通りに。

「色んな人の名前が知れて良いね。」

「夢なんてジョートーなモノ見られるの幸せだね～ワタシにも分けて欲し～」

「臓器は分けない」

「この辺入れ替わり激しいから名前も顔も全然頭に入らないんですよねぇ」

「ああ、語弊がある言い方だった」
「私はただの溝攫いだ。戦うも奪うも疲れたものでな」
「私のこれは油断させるためではない。摩耗を避けるための処世術だ」

「幽霊だ死人だ、カッコいいのばかりね……」

「………"灰被り"よ、よろしく」

「名前覚えるんも飽いたら忘れるさかい、堪忍な」

「…あー、昼頃に聞いた心の方の医者ってのはアンタだったのか」

今更ながら納得。

「オレはエンジニアやってるから、銃とか機械のメンテナンスしたいなら
声掛けてくれよな～」

「入れ替わり激しいんだ？」

あとで他のとこも見に行こうかなぁなんて思いながら。

「ヤバい、全然名前がアタマん中に入ってこない。
　まあテキトーに呼びゃいいか」

「何、終末の世だ。名前もそのうち無意味になる。そういうものだSo it goes」
「エンジニアか、珍しい。拳銃のメンテナンスは出来るかな？」

「呼び方なんて、適当でいいのかも」
「その人ってわかれば」

「多分これからも行き来は激しいんじゃない？
人が居ない所に雨降るんでしょう？それ、欲しいんじゃないの？」

「……まぁ、星が見えなくてもこっちの方が落ち着くな」
どっかから帰ってきた様子。

「おや、話に上がってたのかい？なんだか照れちゃうね…そうそう私がそのお医者さんだよ。沢山の人の幸福こそが私の目標なんだ。
貴方はエンジニアか、技術はこの時代にとても貴重な能力だ。尊敬するよ！よろしくね！」

「話さえ出来るなら名前なんて些事よ、些事」

かっこいいのはいいけど。

「雨の必要性はそこまでかしらね。塵芥を漁ってればあつまるものでしょ」

「こんな生活じゃ、昨日話した相手が翌朝には道端で冷たくなっててもおかしくないでしょ」
ケラケラ笑い。

「生き延びて何度か話せりゃ自然と覚えるでしょうよ」

「呼び方ンは、つまらん響きやなかったら、なんでもよろしおす」

「……もっとも、何がつまらんかは、うちも測りかねますさかい。よう考えてみはったらええ。できはるならな」
なんかもう半分脅しなのではなかろうか。要するに幽霊か亡霊って呼ぶのが無難そう。

「何の得も情もないような人間の名前なんざ覚えてどうすんのかね」

「自己紹介のターン？」
「ボクはピンクヒール！曙光のデッカイカジノでバニーボーイやってます♡」
「雨が降った街から来たヒトたちにはサービスやってるから、いつでも来てねぃ🎶」

「………」「珍しい位賑やかになったわね」

この時間にしては、ね。何度か見た顔のも居る訳だし。

「ま、各々よくよくやりなさいな」

「まだ幸福言うてはりますのなあ。結構なお医者様ですこと」

「名前を知ってるの臓器はいじりにくいな……って心理は
　結構な人の中にあるものかなって……」

「で、得も情も言ってる貴方の名前は？」

「おや、今の話題は自己紹介かな？」
「案外覚えていても損はないかもよ。」

「そりゃ媚びるんじゃない？業が尽きてシニソーですぅ♡助けてくださぁい♡って」

下手で鼻につく媚び方。

「名乗れと言われたら名乗るけどもさ？
名前すらも業として購入出来そうだもんねぇ。
明日には同じ名前の別の人だったりしてー」

「ただの死骸に名前が必要なのかね」

「じゃあアリサは、名前知ってる人の臓器は弄れるの？」

「人々の幸福と光は私の永遠の目標。素晴らしい最後を迎える為にも必要な物だと心から思っているからね！
言い続けてるお陰でこうして幽霊さんにもそうして覚えてもらえるし、良い事だよね！」

「いるよォ～お金持ちさんなら余計にね。」
「金目のもの売った時付加価値着くから‼️」
わるいことだ！

「あったほうが何かと区別しやすいんじゃない？」

「死骸にだって名前は必要でしょう」
「だって、呼び分けないとどれだけ取ったか分からなくなるじゃない。在庫管理は大事だよ」

「結構みんな」「個性あるから、覚えやすそう」

「名前がないと墓に名を刻めないじゃないか」

「ど～せ最後は燃やされて業になるんだから名前にシューチャクしても仕方無くない？」

「ふん、あんたが何しようが覚える機能は残っとるから覚えとるだけ――蝉の声が夏に残るみたいなもんや」

「名前ぇ？　不便ってんなら、シトロンって呼べば？」

ま、価値観の相違なんて此処じゃ今更。
賑わいだす場を横目、身を伸ばしては耳や尻尾がふるりと揺れた。

「どうでもいい騒動以外なら大歓迎よ」

「シトロンだね、改めてよろしく。」

「それじゃ、私はそろそろお暇しよっと。
　また明日ね。」

　そう言って、ふらりとどこかに行くように。
　見繕っていた寝床へ向かったのでしょう。

「執着ないなら、尚更言いふらしたって惜しくはないでしょうに」
周りの話、頬杖着いて時々口挟みつつ。
適当に塵を捏ねて作ったネズミだとかを火にかざして暇つぶし。
勿論塵芥以上の価値はないのでそのまま火の中に放りこまれる。

「シトロン、か」
「ケーキのお裾分けの約束もあるからなぁ～。
名前はしっかり覚えさせてもらうぜ？」

「今日は噂の真偽を確かめに来ただけでね」
「また来るが、そろそろ曙光に戻るとするよ」
「では皆々、よき終末の夜を」

「お疲れ、気をつけてな～」

「しとろん」

「行動や言動のドス黒さに反して、
　随分と可愛らしいお名前をお持ちで……」

「お帰りの方はお気を付けて〜」
へらへらと手を振り。お見送り。

「はあ……」

梟首から帰って来た。
貯め込んだ種子を換金してきたのだろう。

「ふふふっ、それでもよく覚えてくれてるなぁってなるけれど、何かを見て、聞いて覚えてもらえるのは当たり前ではないからね。この時代は自分の事でいっぱいな人も多いわけだし。
だからこそ、蝉のように私も最後の時まで鳴き続けないといけないね、幸福をさ！」

「折角目的地に一発で来れたんだからね。
色々ふらふらして遊ぶのだ。次来れるかマジで分かんないからね……」

トオイメ。ほうこうおんち

「名前を知ってる人の臓器は責任感を持っていじります」

きっぱり。

「言いふらすのダルくない？それに言ったらこっちも覚えろ～って感じになるし」

「あっココで寝ていきゃ良いのに、あの帽子掻っ払えなかった～」

「はいおつかれさま」「次があるといいわねぇ」

のんびり、ゆるゆら。

「確かにこんな時間だ、寝た方がいいね」

「あっあっ、おやすみなさい……」

「ほんま、ぎょうさん人がいはりますなあ。暫く黙っときますわ」
皆を観察しつつ、黙々と酒をあおり始める。PL離脱

「名前知ってるんなら、臓器は大事に弄るんじゃないんだ……。
責任を持つだけなんだ……ちなみにこの場合の責任って？」

「おやすみ、なさい」
「それと」「おかえりなさい、かな？」

「休む人はお疲れ様、良い眠りを」

「……もしほんまに蝉やったら、一週間で命尽きるなあ。蛍が宵に灯すみたいに、かえって風情あるかもしれんし、楽しみにしとくわ。ほな」
そう追加して、改めて黙々と酒を飲もうか。

「それは確かにそうだな……」
納得してしまった。実際自分も別に名乗ってないしな……面倒くさくて……

「……」

壁にもたれかかる。
疲れてるような、不機嫌なような。

「もしもの事があったら、想いを馳せて悲しみます……」

「お疲れ様の人はお疲れ様なのだよー。
これからは深めの夜の時間なのだ」

「でっしょ～？ワタシやりたいことだけやりたいんだよね～」

「ケチ臭いやつは荷物盗られた？馬鹿やらかした？」

挨拶もなしにふらっといなく……なる前に、いくらかに不自然にぶつかっていった。
いくらか貴方がたはスリにあったかもしれない。あわなかったかもしれない。

「悲しむのかーそっかー。感情も楽には出せないもんねぇ。
業とかにしたら、幾ら分くらい悲しくなるの？」

「紙片3枚分ぐらい……？」

「寝る時、どうしようかな……」
「荷物、盗られたくない……」

「やっぱあそこ梟首、好きじゃないかも」

慣れない環境に身を置くのはストレスである。当然。

「ウチらの臓器は金具1個ちょいってトコか……」

「割とお手軽な悲しみだなぁ」

「この世界に待ってる終末を思えば、皆が蝉みたいな物だけれど…期待に応えられるように尚更に、もっと幸福を叶えてあげないとなぁ」
酒を静かに飲む邪魔はしたくないからと、男もそれ以上は言わないが、1人でにそう気合を入れるのだった。

人々がまだ話し込んでいる中、静かに物陰に潜み寝床に帰っていった。

「紙片三枚は結構なのだよ……情にはあつあつのタイプの臓器欲しがりさんだったのだよ……」

ぶつかられそうになれば、ひょいと軽く避けたかも。
避けると言うよりも、ダンスのステップのようでもあったけど。