焚べても数業にもならない瓦礫を延々積み上げている。

「誰か、相克挑んでも良い奴は居るか？」

「業を…？……いや…すまん」

ちいさな子供から出るには少々意外な答えだ。
…と思う事も侮りになるだろうか。驚きの声を上げたことを謝る。

「業を集めて…なんか欲しいモンでもあるのかね。
　あー……そういうのを集めてるとなると、ちっと危ないモンだからな。
　俺としちゃああんま推奨はできないんだーがー……」

大人として。
あなたがしてくれたように、全面的な応援を返すことは難しい。
思わず腕組みし、白いかんばせに浮かぶ意思を伺う目をした。

「相克」
「最近やる人多いね」

ちらりと手元の骨牌を確認。
どうするか、と思案。

「ギャンブルとしても分かりやすいからね、相克は。」

「業よりゴミを拾った労力が惜しい」

「だけど僕達はゴミを拾うしかない。さあゴミを拾おう！」

荒事が怖いので縮こまった。

許可を求める。なんとお行儀の良いことか。見たところ懐業は潤沢なのだろうし、適当に挑みかかっても損失は少ないだろうに。　ちらりと視線を向け、目が合う前に逸した。

「んまぁ、単純に身体を動かさないとなまって仕方ないからな」

「あと普通にテキトーに挑んで断られるとまた骨牌集め直すのが面倒なんだよな……」

「子供は好きやないけどな、枝葉に止まっとる影なら、蝉時雨よろしく消えるまでは移ろいンひとつと思うて眺められるわ」
みんみん。

「誰もやらないならやるよ」
「そっちが挑むメリットは薄そうだけどね」

ひら、と骨牌を軽く揺らして見せる。

『相克』『やる』

甲高い声が、そろりそろりと手をあげました。

「ァ〜ね。オレと戦る〜？？」

「3人も来たか」

『わたし』『夢』『ある』

ぱらぱら。ページを捲っては指をさします。
驚かれるのは想定の内でしたから、そう反応することもなく。

『どうせ』『終わる』『から』
『やりたいこと』『する』『つもり』

大人はきっと止めるでしょうけれど
それ以上に強くなって、力を得なければなりません。
瞳はあなたからそれて遠くの空を見るのです。
紅玉と呼ぶには鈍くくすんだ瞳も、今だけは輝きを放っていました。

「ァ、被った〜。死体マンの好きなよ〜に選んだラ？」

「よし、全員やろう」

「他にやりたい人いるなら俺はいいよ」

元より誰も居なかったら、で手を上げていたもの。

「こんふりくとー？」

最近みんなやるですね　楽しいですかね？
美味しくはなさそうですが！

「真似しちゃダメよ」

「安牌を取ったね」
「賢い生き方ってやつだ」

減るか増えるか、或いは双方ゼロにするか。
何にせよ楽しめたようだ。

「アララァ、負けちった」

骨牌を投げ、カラカラ笑う。
別に毟られようが文句は言わなかったんだけどもね。お優しいこと。

「………」

「受けがいい、やるなら」
一度試してみての感想。紙片で賭ける業を2倍にできるのが強すぎて…

「悪いな、付き合ってもらって」
一通り大斧を振り回した

「わー？わー？」

とりあえず今回もわからない顔でヤジの真似

「また骨牌でも集めに行こうかな」

上手くやれば業を押し付けられるし、とまでは語らない。
此処では背負うものは軽い方が良い。
その点、相克は都合良く業を相手に押し付けられるのだ。

「確かに、ドレスコードは大事だね」
「口を濯ぐ用の泥水が入り口になかったから気を抜いてたな」

骨牌実は常に持ってはいるが
何に使うかは分かっておらず

結局はわーわーしているのである。

『引き分け』

むん……

「クカカ。偶にゃオレも運動しなきゃネ」

お強いお強い。拍手。
オレも骨牌もっかい作り直すかあ。

「相克」
＊あらゆる対決、闘争、交渉のメタファー＊
＊対決も、闘争も、交渉も縁が薄いものです＊
＊あるのはせいぜい、奪われるのと＊
＊うまく逃げ切れるかどうかでした＊

「……雌の耳付きってあんまりおらんのか？
　いや、奥にはいるのか……しかしさすがにな……」

リスクの天秤がイカれてる男ですらもそれはためらうらしい。

骨牌。あるにはありますが
これはあくまでも別の領域に渡る切符でした。
だから今回の闘争は眺めているだけ。まだ貯めこむ途中です。

「夢」

『夢』の文字を己も指で静かに触れて呟く。
どうせ終末が訪れる。
それは己にとっては受け入れ難い考えだ。だが。

明日を夢見る渇望。
医師が人々に与えたいと願っても、そうは容易く出来ない物を
天を仰ぐ眸に見。

「……わかった。じゃあ、こうしよう。ちょっと手に触るけど、いいか？」

「METROに来てやることソレかョ。鼻腐ってもげても知らね〜ゾ！」

キャラキャラ笑った。こいつ。

貴石はやたら見つかる割に金具がちいとも見当たらないな。ここらのは拾われ尽くしたのかも。

相克を眺め、やはり無表情で酒を飲む。
と、いつも通りにも見えるだろうが、きちんと〝見ていた〟。〝視線を向けていた〟。

それ以上でもそれ以下でもないが。

「よし」
また骨牌三種を作り直した

こどもは滅びの足音を信じています。
神様というものは心底きらいだと思っていましたが
そこだけは唯一意見の合うところだったのです。

あなたが何を思ったのか知りません。
けれどこちらの話を分かってくれたのでしょう。
なら、首を横に振る理由はありませんでした。

右の前脚を服で拭いてから、あなたに差し出します。

骨牌を両袖に持って掲げている
持ってますよ！お揃いですね！

「若いのは元気だな……」

「此処がMETOROでございますか」

石を投げたらこちらへコロコロ転がったもので。物見遊山を少々。

「曙光にて、やたらめったら鼠が多いと言われておりましたが……」
「真偽は如何ほどに？」

ぬる、と薄汚い路地に爪先を向ける。
鼠よりまず羽虫の歓迎が凄い！　んー！　熱烈過ぎて照れてしまいます！

「はじめから労働力・・・っつってたろ。
　しかしこの有り様なら普通に曙光で張ってるのが一番よなあ……」

「新参者か」
「まぁ、鼠は多いな」

「一見さんが熱烈な歓迎うけとる音がするわ。雅やなあ」

「ねずみ」「じゃない？」
＊いつも真似事で否定しているので＊
＊真似る相手がいないので疑問形です＊

「うわっ」

*ひょっとこちらにやってくれば*
*あれまあ大きなねずみが何匹も！*
*そういえばここらは多いんだったと*
*露骨に嫌そな顔を隠しやしない*

「お出かけしてるねずみも多いけどね。」

　主要拠点はここだけではありませんし。

何？相克やってたな？くっ……目を離した隙に……
「ボクもパーーーっと業の雨浴びたい！誰かーーやろーよーー？？！！」
喚きバニー

「相克、どちらかというと骨牌なんかより
　紙片のほうが重要なんだよね。」

『…』『ねずみ？』
お仲間でもいるでしょうか。
きょろきょろ、とあたりを伺うように。

「やっぱり何匹か持って行っても……」

「カカッ。わざわざ黄金虫連中がMETROに来てやることじゃね〜からピンと来ね〜ってノ。
素直に曙光で張りゃいーだロ。スリルでも求めてンの？？」

つってたらまた曙光の連中か。
梟はあんま渡ってこないのになあ。

「おやおや！」「本当にいらっしゃる！」
「初めて拝見致しました」「記念に握手でも如何」

羽虫に大量に触ったばかりですけど！
まぁ此処の方は気にもなさらないか！

「じゃあやろうか。」

ネズミは初めてですか？羽虫はくすぐったいですよ

そして此処は匂いもそれなりー！

「だーーって！あっち人少ないから！！」
そんなことは無い

「後こっちの方が懐ぽっかぽかな人多いんだよねぃ。」
そんなことも無い……いやなくもないかも。

「METROにあるものと言えば、そうだな」
「塵芥くらいだろうか」

「そこまで多くの業を持っている奴はそこまでいないと思うが」

「うっし。指をな、こうして曲げて……こォ。
　んでここの隙間に息を吹き込む。
　するってぇと高くて遠ーくに届く音が出るんだ。指笛ってヤツだな」

委ねてくれた手を大きな掌で掬うように取って
鞄は小脇に、丁重な手つきの両手で指を畳ませ、握らせて。
そうやってから自分も同じ手を作り出来た指笛に息を吹き込む。
ピュイ。鳥が鳴くような音がした。

「危ない目にあいそうになったら、これを吹きな。
　俺に聞こえたら俺が駆けつけるし。
　そうじゃなけりゃあたりの人目を惹いて、逃げ出せるだけの隙が出来る。
　───出来そうか？」

「かわいい　鼠」
大きいのは。小さいのは苦手だ。見境なく齧りついてくるし。

「どこだろうと、塵芥くらいしかないでしょ。」

「METRO名物といやァその辺に転がってる浮浪者とかじゃネ」

まだ呻いてるから元気だよ。比較的ね。

＊握手なんて受けやしません＊
＊取引でもなく、同胞以外から差し出される手＊
＊暴力の方が圧倒的に多いもので＊

＊手が動くのを見れば、さっと物陰に＊

業。一番上はどれ程持つのでしょう。
数多を燃やし尽くした先には一体何が待つのでしょう。
あくびをひとつ。相克の気はありませんし
おまじないが終わったのなら別の場所に行きましょうか。

「ドブネズミどもが人間ヅラして
　居座ってんのは流石のメトロってか」

*大きな独り言を零す女は、骨牌を軽く摘んで*
*──人間未満・・を狩るのに最適な狩場ではあるけれど*
*どーも人が多すぎるから面倒な気持ち！*

「全てが集まる街ならだいたいなんでも手に入るけどさ、
　やっぱ現地の食べ物は現地で食べてこそよ。
　御当地料理的なね？METRO住まいにゃわからんかこりゃ」

横柄な説明だなあ。物好きなのは確かであろうが。

＠UnDeaDDayS
「ここらでトップクラスにいい匂いしてる業持ってそうな君がそれ言うの？？？？！！！！」

うさぎというよりハイエナかも

「わーーーーーい！！！！！！」
ぽっかぽかァ！！！！！！ 対戦ありがとうございました🎶

「骨牌持ってる時点で大抵はギャンブラーだし、
　そんなもんでしょ。」

＊対して、ドブネズミだの人間ヅラだの言われるのは気に留めません＊
＊凡そそれくらいなら可愛らしいもので＊
＊首縄あたりであれば、もっとかみついたのでしょう＊

「俺の場合は業コレが無いと動けないからな……」
「自然と集めてしまうんだよ」

「こちらこそ、相克どうも。」

「楽しそうだな〜楽しいかな〜」

コンフリクト見ながらウズウズしている

「スリル！　それもまた結構結構！」
「わたくし観光が趣味でございまして」

今決めましたが、案外そう遠くもないかしら。

「梟さんは巣作りでお忙しいのでは？」
「終末を前にしての労力、涙ぐましくてわたくし胸が張り裂けそう」

手布を目元に。涙を拭いております。
働き者の梟さんを想って！

「METRO味で腹壊すまでが醍醐味ってカ？
カカッ、酔狂ねェ」

ま、好きにしたらイイさ。
一人で奥に行って毟られンのも自由なんだし。

「ただその溝鼠もかけがえのない生命扱いなんだとしたら」
「今日恵の雨が降るのも梟首会っぽいな」
「くれぐれも側溝から這い出してこないで欲しいな」

「何処も人間未満まみれだロ。なーに珍しがってンだか分かんね〜ナ」

オレもお前も皆も人間未満。だいたいそんな感じ。

やはりこどもの手はひとのものより硬いですが
それでも五つの指と器用さは持っています。
出来上がった指笛を、軽く咥えるようにして、吹いて。

ぷ、ぴゅーい　ぴゅっ　ゅい

ちょっと不格好な音でしたが
気に入ったのかそのまま何度か吹いたでしょう。

出来るかどうかという問いには、一度だけ頷きました。
ひとから逃げることにも、競うことにも自信はありますが
それでも好意を無下にすることは出来ませんでしたから。
ありがたく授けられた知識にまたひとつ頭を下げるのです。

「ァ〜梟首で思い出しタ。あっちも食べ歩き行きて〜ンだよな。後でいこ」

話聞いてた？

「はあ？あんなドブネズミどもと同じにされたかないね。
　ま、ここは人とネズミの違いも分かんないゴミ野郎の
　掃き溜めだし仕方ないかっと」

「出来た」

骨牌を手に帰ってきた。
ひらひら。相克を望むならご自由にと言わんばかりに揺らしてみせる。
罠らしさも感じるかもしれない。

業を沢山貯めないと遊べないのですかね
頑張ってガチャガチャしましょう

「おやまぁ照れ屋さん」
「隠れられてしまいました！」

己の額を叩いてみます。残念無念。本当本当。

「ほぉら手は引っ込めましたよ」
「さあさあ出ておいでください」

本当本当本当。今はね！

「はー、おもんな」

*たくさんのドブネズミと*
*それを好意的に受け入れるつまらんゴミだらけ！*
*骨牌を軽く放っては、踵を返していった*
*喚くだけ喚いて離れる女だった*

「別に優劣もね〜と思いますけどネ」

だって全員喋るお肉だから。肉は全部尊いもんでしょ。オフクロが言ってた。
他者を見下す思考回路はてんで理解出来ない脳足りんなので、ただ首を捻るばかりだった。

「ちなみにホンモノのドブネズミなら、
　懐いてくれれば芸とか仕込めるらしいよ。

「なんで来たンだ……？？」

帰っちゃった。観光すりゃいいのに。
謎だ。

「？」
＊実のところ、同胞たちとそれ以外に差はありますが＊
＊行きつくところ、骨まで毟られることに違いはありません＊
＊ああいう人たちが何に苛立っているのか＊
＊子鼠は知りやしないのです＊

「あの人難しい話沢山してどっか言っちゃいましたね？」

お腹減ってたですかねぇ

「そのガタイじゃ入った時点で監視員に見られるだろね。
　食い物は……まあそれでも大人しかったらそれなりに？
　それに一番安全だから得られるものもある。悪くはなかったな」

「まぁ、ここではどんな意見も自由なんだ」
「他人に言われたことで何か変わるわけでも無いしな」

「クカカ。だろーな。前梟ンとこに卸し行った時も監視員べったりだったヮ。視線が丸わかりってネ」
「彼処は食いもん良いよナ！曙光とはまた違ったカンジっつ〜かあ〜。
甲乙つけ難くてェ」

「他人に言われて変わるような奴はここには残ってないでしょ」

何処ぞへ立ち去るか淘汰されるか。
大方その二択だろうね。

「…っはは。よしよし」

ちいさな手で作られた笛の音は鳴き初めの鳥のそれを想わせて
つい笑ってしまいながら、もう一度その頭をぽんぽんと撫でんとする。

「こいつぁ、咄嗟に出せるにしては、聞こえやすい音が出るからなァ」
「…どーしても全面的に応援は出来ねえけど。ま。憶えておいてくれや」

「……あ。万が一怪我したら、ちゃんと俺のほうにくること。これも約束な！」

「……。また賑やかなのが増えはりましたなあ。あちらさん他エリアが寂しがってそうや。鼠漬けでもどうどす？」

「自由だからこーやってお喋りしてンのに。帰っちゃったじゃン」
「アレ。もしかしてオレ変なこと言ってタ？？ゴメンね」

煽ってるつもりも、説教してるつもりもないのだ。そう聞こえるのが問題なだけで。

「ほぁ……！」

歩けないながらも手の届く範囲を漁っていたら
金具が出てきた。ほくほく……