「べつに、いいけど…」
「よるは、メトロにいるんだ？」

「さぁな、METROにいるかもしれねぇし梟にいるかもしれねぇ。その時の気分次第だ。」

「私はもうずいぶん、やりたいことはやってきたからね」
「あとはここらの連中にできるだけ長く『夢』を見せてやれりゃあ、それでいい」

「…そ、じゃあいいや」
「ばいばい、またね」

手をばたぱたと、ゆるくふり見送る仕草

「ま、まだ移動しないけどね。」

そのままそこらに座っていたのだった。

「ふーん、しってる」
「そういうのって、…………じこ…なんとかだ」

「おにいさんのゆめは、やだけど」
「ぼくにも…、やさしくしてくれるの？」

「あれ、以外となかよしなんだ。」

「？、そうなんだ」
「んー…、じゃあ」
「おさけ、おいしいよ」

のんでく？

「はぁ……
骨牌の合成というのは、こんなに時間がかかるのですね……」

「お酒追加しておくかね、それと別に仲は普通だぞ、別に好き好んで揉める理由はないからね。」

酒をもらっては飲み干す構え。

貴方に一杯、自分にも一杯
本日二杯目のお酒だ。おいしー

「かるた、3つ持ってるけど結局もてあましてるな〜」

「METROで飲む奴とは別だねぇ、寝る時だけは梟に帰るのがベストってところだな。少なくとも治安はマシだし。」

「おじーちゃんは、よわよわだもんね」
「けんかしたら、ぼくが　かつよ」

「相克でも移動用でももっとけば？一つもないよりはいいよ。」

「無意味な喧嘩ほどアホなものはねぇだろ、相克もしねぇぞ。リスクを取る理由がないからな。」

「……滅ぶ世界で元気なことねぇ」

優しくしてくれるか、と。聞かれて男は、煙管に口をつけゆっくり煙を吹く。

「丁重にしてやることはいくらもできるが。
　孫やその下と同じくらいの年頃の人間を、望むようにやさしくしてやれるかは」
「さて。わからんねえ」

「楽しいあそびならいいんだけどな〜。けんかはいやかも」

「何もしないよりは前向きでいたいもんね。」

僕も飲み直そうかな……と思案中。

「私も飲もうかしら」

並ぶ酒瓶を眺める。どれにしようか？

「しないよ、かるたもってないもん」
「かなぐのせいで、にもついっぱいだし」

「移動できるときにMETROでさっさと燃やしてこい………。」

「…、？」
「おじいちゃん、なんだ？」

若く見えるのにな、変なの

「んん〜、じゃあ」
「だっこして、まご？みたいに」

「………、行きたくないんだもん」

「そうかい、まぁ好きにしなよ。どうしても行かなきゃいけないときは付き合ってやる。」

「おやおや。」

「...雰囲気が変わったな。」
移動をすると、別の地に行ったことに気づく。

「【代わり映えしない景色】に私は、久しぶりに感動したかも知れないな。」

「めとろってところは金具がうれるの？探してみようかな。ここの人たちはきらきらばかりだから、みつかるかなぁ」

「ん…、でも」
「ねるのはフクロウが、いいんでしょ」

また新しい人が来たなと、ちらと見やる
そしてまた、塵を捏ねる

「物を燃やしに行くって名目で移動するのもいいよね。」

「わたし、めとろにも梟ってとこにもいったことがないなぁ。あしたはめとろにいってみたい」
今日世界に放り出されたばかりなので。

「ぅーうー」

ゴミ拾い。掃除とは違う。

「別に何処でも構わない、顔見知りが困ってるならそれくらいはな、ちょうど金具俺も一つあるし。」

「他所よそに行くときは気を付けてね」

もちろんここだって決して無条件に安全というわけではありませんが。

「...貴石。」
この石、さっきのばしょで手に入れたが...ここで燃やしたら高値でついた...

「【無意味】な移動もあるのだな...ときどき、売りに行こう。」

「ここはけっこうあんぜんなんだ」

「……じゃあ、もやしにいくだけ」

「皆元気ねぇ」

少女のようなモノは興味なさげにグラスを傾ける。

「メトロは気をつけた方がいい」
ぽつり

勝色の着物、三本の角。
おぼつかない足取りで歩き、片手に饅頭。
「捗ってますなあ」

少女は他の場所が──と言うかここでさえ、どんな所なのか良く分かっちゃいないが。
メトロにはネズミがいるという噂は知っており。

「ちー」

なんて真似をしながら、石を拾っていた。

「...こんな地に来て言うのもあれだが、わたしはできるだけ暴力などはせず、静かに過ごしていたい。」

「...経験上、その方が【良くない】とわかるから。」

「メトロって、下層だっけ？
……今より生活水準が落ちるのは嫌だわ」

「ぁんぁん」

「まだここいらが富んでいた頃に、相当金を掛けて若作りしたんでね
　中身は手の入り切らなかったところがあるから、
　またぞろいつポックリいくかはわからないところだが」

のんべんだらりとした口調で続けているうちに、
あちこちの店屋や路地から人が溢れてきたのに目を移す。

「さて、縁側話をするにゃあ賑やかにすぎる。
　いまはあちらで、遊んでおいで」

「何を啼いているの？可愛いわね。ふふ」

「ぁんぁん」「ちー」

「METROはけっこういいところだったよ」
「衛生面は最低だけど」

「下層ってより地下鉄をねぐらにしてんだよ、住めば都だぜ。」

「地下なんて、水が出てカビ臭そうだわ」

酒のグラスを傾ける。

「下層。きらきらよりも金具がうれるんだよね。どうせ終わるんなら、みんなここに来たっていいのにな」

「そうそう。」

「……ふふ」
コーンに添えられたチョコミントアイスを片手に上機嫌そうに歩く人影。
「おや、METROの話かな？」

「ぅーぅー」

「...むしろ【始まり】が心地いい人もいる」
「世の中には無駄にあがいて地獄を見る人だって居る」

「その人の立場がどうかなんてわからないけど、下層の人も下層なりにやりたいことがあるんだろう。」

「めとろのはなし。明日いってみたいの」

「メトロも案外悪かねえぜ？
　秩序と化進行とか余計なこと考えなくていいから
　頭が弱いヤツでも生きやすい。
　まぁ、弱けりゃそこまでだが」

「…？むかしは、りっちだったってこと？」
「へんなの、なかみのほうがたかいのに」

いまはちがうのかな、なんて
ふわふわした頭ではよくわかんないな

「ちぇー、べつにいいのに」
「じゃあまたこんど、やさしくしてね」

「ま、悪くはないな。衛生はともかく最低限の秩序は保たれてる…。」

「METROは居心地の良いが……まぁ、合わない人にはとことん合わないだろうね。」
「私は無秩序なあそこを好んでいるけどね。」
と、手にしたアイスを口に運んでいる。

「こんばんはーのおつかれさまです！
　みなさん享楽してますかー！！
　わたしはいまから拾った貴石を納めてくるところでぇぇぇっす！
　やったー今夜はごちそうだー！！」

大声に耳がびびっとなってへちょっとした。

「ふうん、法が無い方が生きやすい人もいるのね。

……生きて、どうするのかわかんないけど」

「私も自由な方が好き。でもここはすごく好き。きらきらいっぱい、"落ちてる"からね」

「【私は知らないことだが】地獄を何回も味わって幸せを知ろうとするよりも」
「むしろ、惨めに死んで自分の罪を罰として精算したい人も居る」

「肯定はしなくてもいい、そう言う人は大概【常識人】だ、一人を覗いて。」

「生きてどうする、ねぇ。」
「今のところは終末を拝む人が多いんじゃないかい？私もその予定。」
「……あんまり好きじゃないな、この味。妹はこんなものが好きだったのか……」
自分で探したチョコミントアイスにケチを付けている。

新しい顔を手帳に記した。
視線は相変わらず、手帳に落とされている。

「みんな、面倒臭いこと考えてるのね。

……しっかり考えられてえらいえらい、えらいわ」

「終末いいですよね！
　もうじきってハナシですからぜひリアタイしたいです！
　みんなで終末盛り上げてきましょー！おー！」

「生活に余裕があると色々なことを考える余暇ができるんだ」
よきこと。

「恐怖で頭がおかしくなってるのかしら？
大丈夫？」

それはきっと、この少女のようなモノも同じだろう。

「終わりが来ても、きっと私は【ちゃんと終われる】と思うんだ」
「...皆にとっての終わりが何かはわからない、けど」

「...自分がなんなのか、悔いは無いように...ね。」

「今日も賑やかだこと」

子兎の耳がへちょっているね。
今日もちまこいのを抱き上げに来た。

富者の落とすゴミを燃やしている

「ぅー」

ぬるんと抱き上げられた。
どこからかする甘い匂いに鼻がひくひくしている。

「いえす大丈夫！
　どうせいつ終わるかわかんないジンセーなら
　一大イベント参加したいじゃないですかー！
　もうここ最近はそれ目当てでがんばって生きてますよ！むん！」

「あとメトロは"耳付き"が多かったな。
　爪弾き者が流れ着く先でもあるのかもなあ」

「終末の内容予想とか面白そうだね、私は隕石が墜ちてくるに一票。」
「あ、溶ける溶ける……」
少し慌てながらチョコミントアイスを食べている。

「ン」
「腹でも減っているか？」

ぬるんと抱き上げ、柔らかほっぺをつついている。
甘い匂いがするなあ。

「どうせ終わるのなら」
「愉しくあるべきでしょう」

「わたくしもそう思います」

「どう終わるのか知らないけれど……
一瞬で気持ちよく終われるなら悪くないと思うわ。
道連れもこんなに沢山いるのだし」