「怖いけど、他人どうしの殺し合いってエンタメだよね」
どっちが勝つかに賭けよう。

「ふふっ、面白い方ですね。
頭の刃物と言い、何処かのサーカスでもやっていけそうじゃあないですか？」

酒があったら肴にしてそうだ。

「怖いじゃん……」
「気をつけよっと」

「血出たりしないの？」
そこに興味がある

「戦いたかったらーいつでもどうぞー。」

「怖いというかなんかもうヤバいな…」

逆に心配になって来た。

「あ」

何かを思い出したように何処かへ向かった。
多分すぐ帰ってくる。

「みんなよく食べるね。」

「ああ、私も、今ならゲーム相克出来ますよ。」

話してる間も、塵芥を弄んでいたりしたから。

「血はね～出るよ。オレの髪が赤いのはさ～その血で染まったからなんだよね！
　ハハ、冗談冗談あああああ何も面白くねええええええ殺してやる。オレを……」

生唾を飲む人間を見れば、やらねぇぞとばかりに睨んだ。
実際に言葉にすることはなかった。咀嚼してるから。

睨まれて、所在無げに目を背けた……

「なんだろ」「自殺志願者なのかな……」
「怖いね……」

「剣ちゃんは刃物が脳に達している可能性が高い。
　もう助からないだろう…残念だが…」

「相克かぁ」
「……本格的にやるならもう少し揃えた方がいいかな」
一枚の骨牌をひらひら。

「へー、そうなの。半分くらい本当だと思っちゃった！」

「元気出してこ〜」

「え……オレって、助からないの？そんな、先生！
　やった～～～～～！！！！！！」

「いーもんあっタ〜〜」

にゅ。壁にあいてる横穴……とも言えそうな謎の大穴から帰還。
あまりに腹の虫が収まらんので飯と煙草だけ調達してきたらしい。脇に紙袋を抱えているが、近場の物乞い達は露骨に目を逸らした。
体格とスカーフェイスもあいまって絡まれづらい。

紙巻き煙草に燐寸で火をつけた。
煙の匂い、普通の煙草。

喜ぶんだな。
変な人……

「助からないんだ」
「よかったのかな……」「本人がいいならいっか」

「人の盗るほど、私は飢えてないから。」

「助からないと聞いて喜ぶ奴居るんだなぁ…」

「まぁ助かったとしても世界は終わるし、さほど差はないかもよ？」

「誰か、あの人の事介錯してあげたらどうです？
あ、出来れば私のいる場所でやって下さいね。」

屑

「……あほらしけど、珍しい人やわ」

「あのセンセに手術してもらえば死ねそ〜だけどナ〜？介錯されたいンだっけ？」

ガサゴソ。
早速紙袋の中身を漁りながら首をひねった。

「介錯か……勤めようか？」

「助からないならー、最期まで楽しもー！」

骨牌は三種とも揃っている

「介錯ならこの刀使う？」
携えているものを指差し。

「世界の終わりより早く人の終わりを見る機会が来るとはな…」

「お姉さん、ゲーム相克、しようか」
「もし遊び相手に飢えてるなら、だけど」

目を逸らす輩を尚も睨んでいる。
こんな場所では、一度芽生えた警戒はなかなか消えない。

「小鳥の方は明日にすっか……」

今日はジャーキーで十分そうだ。
締めた小鳥は適当に鞄の中に入れた。

「僕は息の根を止める為に手術する気は毛頭無い。
　やるならば治すつもりでやる」

「そうなると剣ちゃんのアイデンティティが失われる恐れがあるが…」

「まだそんな立派なものがあったんだ……」

「おわ、カタナじゃん！！
すげ～！本物初めて見た～！」

「治してあげたらいいじゃない、死にたがりをさ」
ふうっと煙を吐いた。

「ん、銃もあるよ」
「錆び付いてるし、弾もないっすけど……」

「そう。オレは殺されたいんだ。
　殺してくれ……オレも殺そうとするから。
　他人は鏡という言葉がある。オレは殺される為に殺さなければならない。
　来い、殺してくれ、殺してやる！」

「あの刃物野郎は死にたがってるくせに襲われたら普通に
　抵抗してるらしいのがやばさを引き立ててんだよな。
　何抵抗してんだよ」

「私には出来ないけどね、これ日本刀もまともに振るえない筋力なもので……」

@milktub
「おや、飢えてますよ、私は。
何時だって、娯楽にね。」

「スリルのある物なら尚更。」

「あの刃物抜いたらすぐに死ねそうなのに。」

　マジレス。

「オレは剣ちゃん一筋なんだよ！」
「！？オレも剣ちゃんと呼ばれているのか！？」
「剣ちゃん……どうしよう、オレたち……被っちゃった♡」

「…銃ならメンテナンス出来るかも～。
弾は材料があれば作れるけど…」

「僕の腕では自信がないな。
　果たして脳の切除を無事に済ませられるか……」

「……服、焼いたらいくつの業になるのだろうか」

「すっぽんぽんは公序良俗的に不味いから燃やすなら他のモノにしよう……」

「カタナって結構重たいらしいなぁ」

「腕に自信があれば脳って切除していいもんなの？」

「長い得物なんて狭いトコじゃ引っかかりやすいもんねぇ」

重さだってそこに付随するだろうし。うーん、にぎやかだなぁ。

「メンテナンス……！」「ほんと？」
「一世紀くらい前のやつ、なんだけど……」
ワクワク、期待している目

紙袋から取り出したのは推定鶏の串焼きとコロッケ。串焼きは勿論串ごと齧る。

「ウマウマ」
「イマドキ武器持ってるヤツも結構居るもんなァ。つってもカタナはそー見ねェが」

閉所の多いMETROじゃ取り回しがそんなに良くないので。

「今のこの世界、しかもMETROに公序良俗なんてものがあるとは思えないがな」

「刀は重いし長いしつっかえるし、技がなきゃ満足に振るえもしない…………」
「……今考えてみたら、なんでこんなものを私は携えているんだろうね？」

「ロボトミー手術になって死にたがりも気狂いも治るカモじゃん？」

死んでも本望だろうし。
でも抵抗するなら医者にかかるのはやめたほうがいいか……。

出来立ての串焼きを齧る。タレが意外とイケるなあ。よぉく焼いてあるので香ばしいし。アタリの店だ。

「スッポンポンになっても構わね〜が、オレの居ないトコでやってネ」

@enlargeDesire
「じゃ、やろっか」
「命のやりとりよりはかなり軽い」

一枚場に伏せ。

「舌戦はする？このまま運に賭ける？」

「サムライ・ソードを持つ理由なんざ、カッコいいからで十分じゃねーか？」

「上等」

手に串焼き肉を数本持って帰ってきた。
普段流通しているであろう肉よりは上等な品に見える。

「刀」「すごいカッコイイ」
「だから、そのままでいいと思う」

「あれだけ深く刺さっていてまだ狂ってるなら」
「あまり脳って考えることに寄与してないのかもよ」

「脳の切除って、相当な技術要ると思うけど。」

「……まぁ、それもそうだね」
「かっこいいし、まぁお守りのようなものとでも。」

@milktub
「ふふっ、楽しみましょう。」

舌戦、も少し気になったけれど…

「このままで良いでしょう。」

適当にころりと一つ、骨牌を転がした。

「すげーなー。カタナってこう、カッコイイし綺麗だよな」

「剣ちゃんが……オレの思考力を制御してくれているんだ！」
「だから剣ちゃんはすごいんだ。刀にも銃にも負けちゃいないんだッ……」

「君の本体ってその包丁かなにかなのかい？」

「武器と言えば、俺も斧は持っているな」

串焼き肉を食べている。
多分塩味。

「絶対あの刃物のせいで性格壊れてるでしょ。」

@enlargeDesire
逆転負け。

「……楽しませようとして踊りすぎたかな」
「舞い上がってしまった可愛らしさだけ評価してくれると嬉しいな」

「頭に刃物が刺さったおかげでおかしくなったってコト？」

「カタナって美術品みてーな見た目よナ〜」

ゆえ、振るわれているところをそんなに見たことがない。ないとは言わんが。

コロッケにも手を伸ばす。
んー。サクサク。美味い。ホクホクの中身は何が入ってるかは知らんが。

「刃マンから刃引っこ抜いたら何も残んね〜しナ」

失礼。

「マンになってしまうね」
たぶんそういうことじゃない。

「アイデンティティを付属品で補ってるやつは大変だな……」

抜いてもあのままの性格だったらそれはそれで怖いしな……

「逆に、刃マンからマンの方を引っこ抜いたらどーなるんだ？」

「剣ちゃんは……剣ちゃんは包丁じゃない！
　救ってくれたんだ。剣ちゃんが。オレを……」
「オレは……剣ちゃんが本体でも、いいよ？　剣ちゃんはどうかな？
　……どうして、どうして黙るんだよ……うううッ……」

「剣ちゃん、喋ってくれなくなっちゃったのかな」
「悲しいね……」

@milktub
「ふふっ、そうね、その可愛らしさはとても良かったわ。」

逆転もまた、スリルがあって楽しい物だから。

「ありがとう、貰うものは貰いますけど…
逆に何か、欲しいものはある？」

「あれもう幻覚見てないかい？」
正直言動的にラリってそうなもんだけど（失礼）。

「アイデンティティって失くすものでしょ。」

「大忙しだな情緒が」

「まだ諦めんのは早いぜ。
　剣ちゃんとやらは、疲れて寝てるだけかもしれねえ」

「業を重ね、業を集めた果てには何があるのか」

「じゃあ夜が明けても喋ってくれなかったら？」

「そ……そうだよな……
　剣ちゃんだって休みたい時ぐらいあるさ！
　いつもありがとうな、剣ちゃん……オレ、剣ちゃんの代わりに殺しまくるからな……」

「今のうちに今日の寝床を探しておくか……」

いいとこはすぐ取られがちだ。
長い尻尾をゆらして、一度探索に立とう

「刃マンのマン部分ならオレァほし〜けどなァ。貰っていいカ？」

駄目だよ。

「ホントに喋ったらソレぁソレでキレてそーだけどナ」

「夜通し耳元でささやいてあげればいいんじゃない？」

「刃マンの刃のほうならほしいな…」
あると便利だからね、刃物。

「あの包丁もどき、妖刀とかの類では？
ほら、大昔の伝承にある、人を殺したくて堪らなく成るという…」

あれ、死にたがりが殺したがりになってない？

保存食を堪能し終えれば。なんかまた随分なことになってんね。
何処か訝し気に眺めつつ、誰かの傍で静かに佇んでいる。