「へぇ……」
辺りの言葉を参考にするかもしれない、頭の片隅に入れとこう。

「オレも死にたい！そう言ってくれてありがとう！
　殺してやる！（狂乱）」

「面白そう」
「肩透かしであると同時に、胸がすきますね」
この子供は世が長く持たないことを嘆く故に、子供足り得なかったものですから。

「覚えておきます」

「それでみんなは次、移動するの」

聞いてばかり。此方は答えようともしない。

「わたしはここのまま……」
「居心地いいしね……」

「えぇ、せいぜい稼いできて頂戴ね」

そうして、狙われるリスクを少しでも減らしてちょうだいな。

「話し通じない！コイツ嫌い！一生死んでろ！」

「意味がなくちゃ生きちゃいけないのならワタシはもう死んでるな～」

「え、別に何がほしいわけでもないし。」

　真顔で語る娘。

「たかりなんてしてるうちは、
　自己防衛なんて出来るわけないでしょ。」

「ふむ、生きてもどうせ終わるこの世界だ」
「確かに終わりの瞬間は面白いだろうね、瞬く星が墜ちてくるとかだといいな。」

「物騒だな～。怖い怖い」
芝居がかった動き。

「カカッ。他人にど〜思われようがどーせ生きたモン勝ちだロ」
「どうしよっかなァ……他所も覗きに行くかァ。曙光で美味い飯でも探そっかナ」

「生きる言うてもなあ。うちは何もあらへん。名前も忘れてもうたわ。地面掘っても、出て来るのは骨に灰。退屈過ぎて掘るのもやめてもうた」

「……確かに、どう終わるんでしょうねぇ」

空を見る。真っ黒な太陽が覆い尽くしでもするんだろうか。
どうせ今考えた所でどうしようもないし、それより明日だ、明日。

「移動しても良いですが、案外愉快な場所みたいで……悩ましいですね。」

ひらひらと舞う塵芥を一つ摘む。
それを掌で握り締めると、一つの骨牌に変わった。

「うーん、悩ましいですね。」

「あたしが自分のことをそう思いたいから。
　そう思っているだけです」

「移動します〜って雨狙いか？移動するにしても行き先言うやつなんぞいねぇだろ」

「あの世に持っていける土産話にしかならねェが」
「くたばった連中に世界の終わりしなを語れるなんざ、いい土産話よ」
酒を呷る。瓶の中の液体が音を立て、男が喉を鳴らす度に小さくなっていった。

「移動するなら曙光……よりも梟首かな」

種子を持ってるし。とは言わない。

「雨、そういうのもあったね」
「どういう原理なんだろう……」

「うちはずっとここに座っとるだけや。……月も星も動くんに、あんさんらは動きたければ勝手に動けばええ。動かん方がつまらんわ」

「一箇所に留まり続けても狙われる可能性があるからね」
「それならまばらに動いたほうが良いよ」

「オレもどこ行こうかなぁ。
まぁチケット骨牌はあるし
行こうと思えばどこでも行けはするんだろうけど」

「コツさえ掴めば意外と自由に行き来出来ちまうからなァ……」
例え言ったとして、日を跨ぐ寸前にばっくれれば、それでおしまい。

「移動か」
「確かにどうしようか、ここの居心地は良いけれど……」

@minutus
力を入れたら折れちまいそうな、細い腕。
きっと服の下の身体も同様だろう。
すばしっこそうだが、それだけだ。
鼠の中でもひときわ体格に恵まれなかった奴か。

「俺がでかくなったってお前はチビで弱いままだろ。
　俺がでかくなってお前を守ってやるとでも思ってるのか？」

個人への畏怖は生まれれど、耳付きが一目置かれるかは微妙だ。
ここでは異形は常に差別の対象だから。

「……これじゃ貰いすぎだ。等価じゃない。」
「借りが出来たら気持ちわりぃんだよ。良いからくえ。」

君からジャーキーを奪い取れば、君の口に突っ込んでやろうか。

「ま、何でもいいけどよ。ヘマやらかして何もかもなくなったら笑ってやれるし。」

「……どこも、俺には合わない場所だった」
どうやら帰ってきたよう

「大きな声を上げられる政治家でも居れば、業雨の降る場所でも決められそうですが……
今のところ、一番賑やかなのは、もしかしたら此処かもしれませんね？」

クスクス笑う。

退廃的な煌びやかさは影を殺す。痛々しい程の秩序は自由もない。
どうせ此処で育った者は、此処に収まるものだろな。

んん～っ、なんて身を伸ばす。耳や尻尾さえも伸びては、また揺らいだ。

「……」


「……すぅ」

何か安心したのか、座り込んだまますやすやし始めたしばらく席を外します。
不用心。

「…ま、他のとこ行くならせめて身綺麗にはしないとな～」

義手も灰塗れだし、メンテナンスが少し厄介。

「命も業も塵のように吹き消えるこの場所の空気が、合っている」

「世を知るためにも、自分を知るためにも、
　夢を知るためにも、別の場所も見ておきたいですが。
　結局はここに戻ってくる気がします」

「ま、大抵そんなもんよ」
「おかえりなさいな。業の方は変わりなく？」

「早くねェ？？他所、どーだったン？」

おかえり〜。なんて気楽。

「お前たち……出来る限り此処にいるか、行く場所を教えろ……！
　でなければ業が積もってしまうッ　業が……増えてしまう！嫌だァーーッ！」

「他の場所は合う合わないが分かれるって言うよね」

帰ってきた人に視線を向ける。
他の場所に馴染めない。だから此処METROにいる、なんて人も多そうだ。

「んじゃ俺はゴミ拾いしてくるわ、争いは好きじゃねぇからよ。」

「おかえり～。肌には合わなかったか」

「オレァ曙光も梟首も好きだけどなァ……？ま、此処が落ち着くよナ！わかるわかる〜METRO大好き〜〜」

ぴーす。

「……負荷が、すごい」

全然かけらが揃わなくてスゴイ

「他のところも、気になりはするっす……」
「行くかはわかんないけど……」

「結局のところ、誰かに縛られるのがみんな苦手なんだよね。」

「今この世界では、法も神も信じれるものではないし。」
「うーーん」
移動先に悩み中。

「んあ」
「酒ェ切れた。行ってくる」

酒瓶を逆さにし、最後の一滴まで舌に落とす。
イイ酒も空けばタダの瓶である。
適当にガラクタの山に放り込むと、中年は何処ぞに去った。

「オススメグルメあったら教えて欲し〜くらいかナ。なんかあった？グルメ」

死体って飯食わんか。言ってから思い至った。

凄く遠くまで走っていたらしい。
賑わいのある場へ戻ってきた。
息を整える。

「何の話かなー？曙光は皆優しくてほのぼのしてたよー。」
ここで言うほのぼのは、あまり戦いに乗り気ではなかったイメージのこと。今はどうなのかわからない。

「沢山移動してー、一期一会を楽しむのも終末の興趣さー。」

「どうせ行くなら複数人で行った方が狙われないんだけどね」
「合わなかったら帰ってくるだけだし」

とはいえみんなで仲良く移動！なんて人はそうそう居ないだろうが。

パリーーーーーーン
捨てられた酒瓶を投げて割った（特に意味はない）

「行き先に悩むなら、くじ引きで決めたら？」
いい加減で無責任。

「ッ！」
「……びっくり、した……」
酒瓶が割れる音にびっくり

投げられて割れた破片を集めて焼いた。

「どこにいたって変わらんし、うちは立つ気もあらへん。他ンとこに興味もないなあ……移動とか言うとるんや、さぞかし美しい場所なんやろな」

「……ここは地下だしなぁ。」
「やはりどこでなら星を見られるだろうか、曙光？」
「……嫌だな……」
露骨に曙光を避けている。

「いってらっしゃい、と」

ま、いずれ戻って来るだろうし。こういうのも言わなくたっていいとは思うが。

空になって投げられ割れて。そして微かに降る灰。
そんな無常だけが、此処の真実なのだから。

「もったいない」
＊まぁ、あの人は業を積もらせたくないらしいので＊
＊もったいない、と思う行動が正解なのでしょう＊

「徳じゃなくて業が積まれるようなことしてるの面白い。」

「お酒にジャーキー、何処か上質な物は売ってませんかね。」

こんな状況なのに贅沢を求めている。
間違い無く、曙光が合っている性格。

「徳を積んでもプラスにはならないからなぁ…」

足元に散ってきた酒瓶の欠片を口に入れた。
パリ……。

「ビミョーな酒味」

「どうなんだろう」「人に優しくしてたら、業が減るのかな」

「こんな世界でも、まだ優しさはあるのね」

「優しくしても業は減らんだろうさ。」
「罪は善行で帳消しに出来るものではないから。」

「そんな理屈で世界が回ってたら鬼さんは今ごろ素寒貧になってるだろうね！」
自己評価がおかしい。

「カカッ。何やったって業ァ拭えね〜だロ。ンな滅びかけの世界で奪い合いしてる時点でナ？」
「この辺だと崩壊しそーな区域にいー店あったゼ。穴場ってヤツだな」

「あら、人に優しくしたいと言う人も居ましたし、医者をされてる方も居ましたよ。
まあ、本当かは知りませんが。」

「ふふっ、私にお酒を下されば、もしかしたら業が減るかもしれませんねえ。」

屑

「瓶の欠片をそんなスナック感覚で…」

「大劇場跡周辺ならそこそこの店も多いけど」

この環境においては悪くない、そういう質の店があるらしい。

「業は……生きてる限り降り積もっていく。
　だからオレは子どもが好きさ。まだ降り積もってないからな。
　せめて健やかに生きて欲しい……こんな世界ではそれが出来ないからオレが殺してやる（豹変）」

「優しくしても、ダメそうだね」
「人に盗られるしか、減らせないのかな」

「曙光は明かりが眩しすぎて星は見えない？かも。」
多分きっとそう確証は持てない

「瓶は意外と美味イ」

中身の味がするから。バリボリ……。

「はーあ。全然腹に溜まンね〜ヤ。なんか買いに行こ……」

重い腰を上げた。酒と煙草も買い込むか。

「……そういえば、今日はまだ何か食ってなかったな」
「後でここの適当な店で何か食おうかな。」

「面白すぎるでしょあの剣刺さってる人。」

「徳に罪に優しさに、大層なこと言いますなあ。どれも退屈は満たしてくれんのやろ。味ないだけの、滾々と湧く酒……いんや、泥水かもなあ」

「どうしても業を減らしたいなら、事前に出す手を教えて相克するのが早いだろうね」
「優しい人が紙片を使って多く毟り取ってくれるかもよ」

「マジで何でも食べちゃえるのねぇ…」

……見てたからって訳じゃないけれど。そろそろお腹も空いて来た。
鞄へ手を突っ込んでは、封のされた保存食を開けて口元へ……もく、もく…。

「業は降り積もる……」
「どうしてこんな……いったい何をしたっていうの……」

「人は生きている限り業とは切り離せないんだね」

「業が沢山あると、なんか良いらしいね」
「ほんとかな」

「へぇ、聞いてみる物ですね。
ちょっと行ってみますか。」

案外情報が出て来た。
崩落しそうな区域に、大劇場周辺。

「ディナーはそこで調達しましょう。」

粉と水を混ぜて作ったゼリーを食べている。

「……ふむ」
「曙光の摩天楼自体、星のような瞬きだろうからね。そりゃあそうか。」
「いや、曙光に星は似合わないな。刹那的過ぎる。」

「オレってそんなに面白い？ヘヘ……ヘッヘヘ～（笑顔）
　オレを娯楽として消費するな　殺してやる……（豹変2）」

「急に豹変するの怖……」

今日の食事は小鳥とジャーキー。
ここで生きてる鼠にしては上等な食事にありつけた方だろう。

「かてぇんだよな、ジャーキー
　噛んでるだけで1日が終わっちまう」

もちゃ、もちゃ、もちゃ………

「包丁刺さってる人」「怖い」

「METRO名物の豹変剣ちゃんかー」

もそもそ。耳や尻尾がぱたぱたり

「……刃が刺さっている人はどうにも情緒が安定しないな。」

「いや、怖くないよ。ほら。落ち着いてるし。
　怖くない。怖くないって。おい、怖くないってんだろ！コラ！
　クソが！ふざけやがって、怖くねえよ！！！ア゛ア゛ア゛」

食事する面々を見て、生唾を呑んだ