@enlargeDesire
「じゃ、また次もう一回はやろうよ」
「今度はお姉さんからのタイミングで」

「ふー……」

食べ終わった。
残った串は通りすがりの人の服の裾に刺した。相変わらず最悪。

「あの人の血を吸い続けた結果かな……」

「吸われ続けてもあの調子なら、血の気が多いって言葉がぴったりじゃないかな」

「貧血でいつも機嫌が悪いだけなのかも」
「包丁が無くなれば、いい人になるかも……」

「串食べね〜ノ？勿体ね〜」

普通は食べない。
串焼きもコロッケも食べ切って、ちょっと寂しそうな顔をした。いつも腹はくちくならない。

「オレはやれない……
　オレを殺したら死体は好きにしていいがな……」
「でも剣ちゃんは……　剣ちゃんはなあ～ッう～ん」

「包丁が有ると嫌な人なら嫌な人だよ」

「随分とその刺さったものが大事なようで」
「……刺さってるのに……？」

「根は、良い人そう」
「狂ってるだけなのかもだけど……」

「そっかァ。死んだら連絡してネ」

無茶言うな。

「剣チャンへの思い入れスゴ」

「根がいい人でも葉がダメならダメな植物でしょ」

「根がしっかりしていればかなりしぶとそうだね」

@milktub
「おや、そんな事で良いのですか？
勿論、楽しいので何回でも。」

ふわふわ舞う塵芥を一摘み、それを握り込めばまた骨牌。

「すぐやります？」

「オレのことはバカにしてもいい……
　でも剣ちゃんのことはバカにするな！
　いや、オレのことをバカにされるのも嫌だな……
　悪いな、皆。オレやっぱ嫌なことは嫌だ。殺すね……」

「葉が腐ってたら、確かにダメっす……」
「じゃあもう埋めるしかないね」

「散々な言われよう」

「そろそろ私も何か腹に入れに行こうかな」
当てはない。

「刃マンも生きてるダケなのにネ……いわまあ気狂いだから完全に見世物みたいなノリなんですケド」

倫理。

「こわいよ～～」
「頭に刺さっている剣、お似合いで素敵ですよ～」
媚び。

「ヘヘ。褒めてくれて、ありがとよ。
　お前は7番目ぐらいに殺してやるからな……」

「業を抱え過ぎると、かえって周りの存在が恐ろしく感じてくるな」
34万は持ち過ぎた……

「剣ちゃんに襲われた者は僕が診察しよう。
　外傷の対応には比較的自信がある」

「助からないんだ……」
先の6人と争っているうちに逃げよ。

「業を持つ者の定めねぇ」「少し抱えてあげましょうか？」

くすくす。冗談めかし。

「他の6人は、誰なんだろう」
「わたしも入ってたらやだな……」

@enlargeDesire
「いつお姉さんから声掛けられるかを楽しみたいから」
「今度にしとく」

自分も懐から骨牌を取り出し言った。

「いや、いい」
「業が無ければ俺は動けないからな」

（微笑み）

「でしょうね」
「打算とか抜きにして本気でリベンジしたいもの」

それまで頑張りなさいね。良い笑顔でした。

「クカカ。金でもなんでも、持ちすぎっと面倒だよなァ」
「……オレァ業よか別のモン賭けた相克がしてェなあ〜」

その辺にごろりと寝転がり、頬杖をついた。だらけの姿勢。

「負けた方が頭に包丁刺すとか？」

「微笑んでる」「怖い……」
おどおど

「いつでも受けて立つ……と言いたいが、いつ動けなくなるかわからんからな」
「その前に倒れたらすまない」

「刃マン増やすのはちょっと面白そ〜だナ……」

一般的にヒトは頭に包丁を刺しっぱなしにすると死ぬのだが。

「食いもん賭けて遊ぶくらいかなァ。オレ満腹になるのが夢なんだよネ〜」

「業以外に出せるものを持ってる方が珍しいでしょ」

「…………」

塵芥を口に入れてみた。すぐに吐き出した。

「いざとなったら」「身体を差し出すしか」

「今臓器提供って」

ぱちっ。目を覚ました。
騒動の最中はスヤスヤしていた辺り、図太い。

「塵芥を食べてる……。」

「ま、こんなトコだもの。その時はその時ね」

ひらひら。叶わなければその時はその時。

「瓦礫喰いのは何でも食べれる分、満腹の夢は遠そうねぇ」

「ソレで起きるのどうなのよアンタ…」

呆れた顔を向けています。

「臓器提供？怖いね……」

@milktub
「ふふっ、それの方が楽しそうね。
それではまたの機会に。」

とても機嫌良さそうに笑うと、骨牌を一度しまった。
次の機会を楽しみにしておこう。

「労働力だって出せるよ」
「意外と自分の魅力に気づいてないね」

「えっ、えっ？違うんですか？」

「渡せて身体の一部って人は多そう」
「内臓を渡そうって人はまずいないだろうけどね」

「食べられたものじゃなかった……」「負荷が、強い」

「性欲の捌け口」「って意味で使ってた」

「業集める以外の何かが、ここで仕事になるの意外だけどね」

くぁ、とあくびをしながら。いずこかの穴倉で仮眠でもとっていた様子。

「また臓器提供の意思表示の話してる？」

「自分の体を簡単に粗末にするモンじゃない。
　もっと大事にしろ。そしたら綺麗なまま殺してやるからな……」

「生存本能から性欲が高まる、という話は聞くが」
「滅亡の決まった世界でそのようなものがあるかは疑問だな」

「ェ〜？でも誰だって身体はあるデショ？肉があるってコトじゃんネ」

倫理観のおしまいかもです。

「そ〜なのよネ。うまれてこのカタ満腹になった試しもね〜シ？同情してくれてもいーのョ」

カラカラ笑った。

来た早々耳に入った話題に、うへえと顔を顰めている。
お気に召さないものがあったようだ。わがまま。

「綺麗なまま殺されるのは嫌っす」
「滅亡するからこそ、あるのかも」

「…………」

骨牌を取り出す。そうしてそれを以て、異なる場へ移動した……

「其処のお嬢ちゃんァ腹減ってンのかァ？持ち帰りで包んで貰った串焼きをやろう……」

その話した直後に施しはちょっとヤダ。しかも肉だし。

「俺は渡せて左腕だけだし、渡すくらいなら業を支払った方が……」
「いや、そうでもないか」

片腕と業なら業の方が価値がある。

「今日の寝床はあそこだな……」

適当に見繕い、戻ってくる。
未だに死人は生まれてないらしい。残念。

「曙光にでもいったらお前のクソ貧相な体も買ってくれるんじゃねぇか」

ここじゃ文字通り食われるのがオチだな。

「外傷の治療と言えば先生♡ですからね。
　臓器提供もお待ちしております」

のんびりしている。

「まぁ、死人の俺でもあるわけだし」
「普通にあるか」

「ふふっ、欲は発散したり満たさないと、ね。」

「さて、私も欲望の場所へと行きましょうかね……」

「では、皆さん、また、何処かで……」

ゆらりと立ち上がると、ゆっくり歩いて行く。

「あ、居なくなっちゃっタ」

串焼きを仕舞い込んだ。
飢えて死ぬ奴が減ったら嬉しいんだけどなあ。

「安全に提供できる場所も先もないから」
「内臓なんか取っても鉄網の上で焼くくらいしか使えないんじゃないかな」

手術できる人は、まだいるかもしれないけど。

「あ、施し受けてる奴がいる。ずりいだろオレにもよこせ」

昼にももらったのに。

「死人にもあるンだ。難儀ねェ」
「内臓の炭火焼きって良いと思わネ？」

あー腹減った。直ぐにこうだ。

「食事は、とった方が良い」
「俺は要らないが」
業が燃料ですので

「ま、その辺の欲もどうせ人それぞれだしね」

「医者もまた増えて来たわね……」

離れてく人たちは軽く見送り。機会があればまた来るだろさ。

「性」

「　」


「え～～～～っ」

思わず目を見開いちゃった。
その後は顔を覆って俯いてしまった……

「角の一本くらいならくれてやってもいいんだけどね……」
食いでがなさそう。移植先もなさそう。

ﾁﾗ……

「ふぅ、曙光の方はまた違った空気だったな…良い勉強になったよ」
ゴミ拾いしていただけになったが

＊身体を差し出す＊
＊子鼠は、そのまま捌いて肉にするくらい＊
＊それしか分かりませんでした＊

「――欲は底なし。覗き込むん楽しさ、うちはよう分からんけどな」

「あの人」「元気だね」
眺めている。

「なンだ、飯食ってなかったノ？一本あげる〜」

気楽だなあ。尚推定鶏の謎肉だ。
味はまあまあいい。

「移植が必要なくらい中がダメになってるなら」
「そのまま死なせてあげた方が優しいと思う」

覗いてるわねぇ……頬つんつんして遊んでやろ。

「人の入れ替わりも多くなって来たわね」「それなりにもう良い時間かしら」

「みんなそういうの好きだね。
　絶対カロリーの浪費だと思うけど。」

「……もしかして私でした？
何かくれるんです？」

戻って来た。
地獄耳か？

「あと性欲は適度に発散しましょうね〜
曙光なら案外色々有りますよ。」

「だめだめ、そんな事よりちょっと血抜く方が楽しいから……」

瞼を起こす。随分と様変わり。
して、ないな。ただ数は増えた。
身を起こせば掌が戦慄く。血の巡りがってよか。なあ。

「ああ、もう」
「朝か夜かも定かじゃないな」

「オカエリ〜。曙光どーだったァ？」

相変わらず欲の街なんかね〜。

「あっあっ」

「性欲ある人は面倒そうだね」

生まれつき欲が乾いている男。
人生に楽しみがない。

「虫しか食ってない」

食べてるし。
差し出されたものは遠慮なくもらう、相変わらずお礼は言わない礼儀知らず。
くんと匂いを嗅いでから食らいついた。昼よりもやや行動が大胆。

「……うま……」

「クカカ。オレぁそーゆーンに興味ァね〜ナ！腹減ってしゃーないシ！」

端的。単細胞とも言う。

うっかり口を滑らせると三本全部取られそうだ。
ここでは案外需要あるのかもしれない。

「そういうん性も飽いたわ」

「おー。よく食えョ……」

よく食ってよく肥えてよく増えろよ……。
オニーサンはそう思っています。どうだ優しいだろう。

「いえ、行こうとした所で、食べ物の話や欲の話が聞こえたので。」

ギリギリ離れる前だったらしい。運が良い？

「枯れてるやつしかいないのもそれはそれで薄気味わりぃな……」

「育ち盛りだからか、たくさん食べるね。

　蜘蛛の素焼きならあるけど。」

「角って食ったことあんまね〜ナ！一本頂戴ョ〜〜。切っても生えたりしね〜ノ？」

ノリ、軽。

「ほっ……」

安堵。どうやらこの辺の人は大体枯れているらしい。

「…………気持ち悪ぃの」

嫌悪を示すように、うぇ、と舌を出して吐き気をもよおすポーズ。
人の好みに対する態度じゃない。何をされたってわけでもないのに。